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日文65(45)


 例えそれが映像であろうと、そのあまりに扇情的な姿に目が吸い寄せられざるをえない。
 
「いかがでしょう。我が组织が开発した洗脳映像は。眼球を通し组织への忠诚を脳に刷り込む素晴らしい発明なのですが」
 
 夸らしげな女の声。その言叶の通りならば一刻も早く目を背けなければならない。
 映像から目を逸らし、敌を见据え、撃灭しなければならない。それが、ヒーローとしての责务。人々を守るヒーローという存在の最大の意义。
 それでも、理性では分かっていても、全く目を逸らせそうになかった。いじらしく爱らしい仕草で、唇を軽く突き出しカメラに向かいキスをしようとする女の姿。何度も唇は近づくが、ギリギリでまた离れ焦らすようにキスをお预けされる。
 
 戦わなければと思っても、もしかしたら映像内の彼女の唇が今度こそ来ると思うと、目を离すことなどできない。 nwxs6.cc
 
「ふふふ……そのまま梦中になっていてください。このビルに居た人间たちと同じように心から组织に仕える忠実な兵に生まれ変わるまで……」
 
 女のその言叶が耳に届いた瞬间、无様に消えかけていた闘志に小さな火がついた。
 そうだ。この戦いは俺だけじゃない。俺が负けたらこの町はどうなる。奴の言った拐われた人たちはどうなる。
 小さかった火がどんどん大きくなる。歯を食い缚り、気力を振り绞り、タブレットから目を离す。名残惜しいと思ってしまう弱い心など、噛み砕くように振り払う。
 
「この地域に居たざっと五千人程ですかね。私が放つ洗脳ウイルスと、电子机器をハッキングして见せた映像で男女问わず皆私の操り人形へと生まれ変わりましたよ」

 さっきまでと同じ静かな口调だが、心なしか自慢気に闻こえる。
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 この地区の住人は避难などしていなかった。破壊ではなく、洗脳という新たな手口になすすべなく操られ、连れ去られていた。今まで破壊にばかり备えていたせいで、搦め手の存在に気づく间もなく彼らは洗脳されてしまったのだろう。
 
 もはや、正义の心は完全に复活した。腑抜けていた心は追い払った。この怪人は生かしておいてはいけない。
 ここで逃がせば、これまでにない甚大な被害が世界中に広がることは明白だ。
 拳を握りしめ、开き、もう一度握りしめる。二度目は力强く。もう惑わされないという强い気持ちを込めるように。
 ザッと石を踏みしめる音をたて、女を见据える。今度は迷わない。见た目が人间であろうと、あれはれっきとした怪人。もう、悩まない。
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